農林水産省が提示しているミネラルウォーターの品質表示のガイドラインでは、容器入りの飲料水を「ミネラルウォーター類」と呼んで四つに分類してます。
全ての水に対して加熱殺菌などの何らかの殺菌行為を義務付けています。その四つは以下の通りです。
ナチュラルウォーター
特定の水源から採水された地下水を原水とし「沈澱・ろ過・加熱殺菌」処理されたものです。もしくはこれ以外の物理的・科学的な処理を行っていないものになります。
ナチュラルミネラルウォーター
ナチュラルウォーターの中でもミネラルを元々含む地下水を原水とした水です。処理法はナチュラルウォーターと同じく「沈澱・ろ過・加熱殺菌」に限り、日本で一般にミネラルウォーターと呼ばれるのはこのタイプになります。
ミネラルウォーター
ナチュラルミネラルウォーターの中でも品質を安定させる処理を行っているものを言います。品質安定処理の例として、ミネラルの調整・曝気(ばっ気)・複数のナチュラルミネラルウォーターの混合・紫外線・オゾンによる殺菌や除菌が行われています。
ボトルドウォーター
三つ以外の飲料水のことを言い、処理方法の制限はなく大幅な改変を加えることもしてあります。ボトルドウォーターの中身は純水・蒸留水・河川の表流水・水道水の場合もあります。
菌を除去する目的とはいえ、加熱処理をすることで水の組成は変わり、美味しさの決め手となる酸素や炭酸ガスも失われてしまいます。
加熱処理ではなく塩素などの薬品で殺菌処理した水では菌が死ぬだけではなく、その水を摂り入れた体の細胞も傷つき健康を害し兼ねません。
ですから上記の農林水産省の四つの分類より、初めに紹介しましたように「①殺菌処理方法②硬度③pH値④栄養成分」だけを自分の目で読み取るようにしましょう。
最近では農林水産省も安全性が確認された水に限り、天然商品も販売しても良いことになりました。
天然水
地下水や湧水、河川水など、自然の水源から採取された水です。浅井戸水・深井戸水・湧水・鉱泉水・鉱水・伏流水・温泉水といった自然の水源から採取され、ろ過や殺菌処理以外の処理をしない水のことになります。
先述いたしましが、体内では生成できないミネラルを含む水を取り入れることが重要です。
ですがミネラルは相互に作用し合って働きますので「どの成分を取り入れるか」ではなく「バランス良く摂り入れる」ことが重要になります。
水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量をもとに数値化したものを「硬度」と呼び、この硬度によって硬水と軟水に分けられています。
WHOの基準
化学や物理学の辞典である「理化学辞典の定義」より
この硬水と軟水の分け方は色々ありますが、世界的な分け方をザックリ掴んでおく程度でいいと思います。ようは「自分が美味しいと感じるのはどこまでか」「自分が飲めるのはどこまでか」を把握することが肝心です。
水分中の水素イオンの濃度をpH(ペーハー)で表示します。pHは0から14までの数値で「pH7は中性」を意味します。健康な人の体液はだいたいpHが7.4と弱アルカリ性ですので、健康増進に優れている水も弱アルカリ性が良いとされています。
アルカリ性の水が健康増進に優れているワケ
人間の体は疲労がたまると体液が酸性に傾いてきます。酸性に傾くと新陳代謝が滞り中性脂肪や糖の分解も機能しなくなります。
そうした場合アルカリ性の水を飲むことによって本来の弱アルカリ性の体内環境に戻してやれば、新陳代謝が再び活性化され中性脂肪や糖の分解も潤滑に進みます。
また、アルカリ性の水には万病の元ともいわれる「活性酸素」を抑える働きもあります。
つまり新陳代謝を高め活性酸素の働きを抑えるアルカリ性の水を体内に取り入れることが、疲れやすい環境に暮らす現代人には必要な事だと言えます。
酸性水の抗菌作用
酸性の水の良いところ…それは抗菌作用です。風邪の引き始めなどに弱酸性の水でうがいをすると、のどの炎症を鎮静化したりウイルスの働きを抑えたりする効果が得られます。
炭酸水も弱酸性の水が多いのですが、疲労を感じた時に炭酸水を飲むことで、乳酸がたまった体を中和して疲労回復につなげる働きがあります。
ですが体には弱アルカリ性が理想的ですので、疲れがたまった時にスポット的に1杯か2杯飲むようにして、常飲しないようにしましょう。
また、酸性の水の利用法として抗菌作用を利用し、洗顔や化粧水代わりに使うことができます。人の肌は弱酸性にあるとき雑菌の繁殖を抑えることができます。
抗菌作用を活かした酸性水の利用方法
しかし汗や皮脂等で肌が汚れてくるとアルカリ性に傾き、雑菌が繁殖し肌荒れや吹き出物の原因になってしまいます。このようなとき弱酸性の水で洗顔すると正常な肌の状態へと戻してくれます。
酸素と水素が結合した水分子の一つ一つが繋がって集合体になります。これをクラスターと呼びます。クラスターがさらに多く集まったものが水です。
クラスターが小さければ小さいほど舌にある味を感じる部分である味蕾にすっぽりと収まるのでおいしく感じ、また、分子が小さいので細胞への浸透率が高く吸収にも優れていると言われています。
クラスター値が低いと飲みやすくなるが良い水とは判断できない
水は冷やせば冷やすほどクラスター値が大きくなり、逆に温めるとクラスター値が下がります。ですから、クラスター値の表示だけではその水の質は判断できないことが分かります。
一般的なクラスター値
また、クラスター値はヘルツという単位で表されますが、神田川と水道水はクラスター値が140ヘルツとほとんど同じと、ある意味納得の結果です。
ですが不忍池と六甲の名水もクラスター値が60ヘルツ前後とこちらも差がありませんでした。
不忍池の水は藻やプランクトンやその他の汚染で決して飲もうとは思えない水ですが、それらの有機物が水分子を分断するので六甲の名水と変わらないクラスター値となります。
このようにクラスター値が低いと飲みやすくはなりますが、それだけで良い水…きれいな水とは判断できません。あくまでも参考として見る値です。
鉱物つまりミネラルを含む水をミネラルウォーターと呼びます。市販のミネラルウォーターには「カルシウム・マグネシウム・ナトリウム・カリウム」について記載があることが多いです。
その他にも「亜鉛・マンガン・セレン」等も含んでいますが、特記する場合でないものは書かれていないことが多いです。
こちらでは「水に含まれる代表的な四つのミネラルの特徴」を紹介。
カルシウムはヒトの体内の1.5%を占めるミネラルです。ほとんどは歯や骨の中にありますが、筋肉や神経や体液中にも含まれています。
体液中のカルシウムは微量ではありますが、血液の凝固を助けたり筋肉の収縮を促したり、酵素を活性化させたりと重要な働きをしています。
また、神経に含まれるカルシウムが苛立ちを抑える効果があることもよく知られています。
このように体液に含まれるカルシウムは不足すると体自体が機能しなくなるので、緊急時には骨の中から溶け出して不足分を補おうとします。
そして補う量が多くなると骨粗しょう症を招きます。ですから、必要十分な量のカルシウムを摂ることは非常に重要なことと言えます。
マグネシウムはヒトの体内に占める割合は0.14%と微量です。ですがカルシウムと共に骨や歯の成分となり、体内酵素を活性化し便秘の解消や疲労防止・血流の安定にも効果を及ぼしています。
マグネシウム単体として働くのではなく、カルシウムとの相互作用で働くのが特徴となっています。カルシウムの代謝の手助けをしたり、カルシウムが必要以上に骨から溶け出すのを防いでくれたりします。
なのでカルシウムを十分量摂取してもマグネシウムが不足していると筋肉の収縮を促すカルシウムが上手に作用せず、けいれんやしびれの原因になります。
このけいれんやしびれが心筋で起こると狭心症や心筋梗塞を招いてしまいます。
つまりカルシウムとマグネシウムはセットで摂取することが理想的です。カルシウムとマグネシウムの摂取比は2対1がベストと言われています。
ナトリウムはマグネシウムの体内含有量とほぼ同じです。その4分の1は骨格内にあり、残りはナトリウムイオンとして細胞外液の中に溶け込み体液の浸透圧を調整しています。
また、マグネシウムと同じくカルシウムなどのほかのミネラルの代謝を助ける働きもしています。カリウムと相互に助け合って神経伝達がスムーズに進行するように助ける働きもあります。
近年の食事は塩分が高いのでナトリウムは不足になることはまずありませんが、むしろ摂りすぎによって高血圧や動脈硬化を招くので摂取量に注意が必要です。
カリウムはナトリウムが細胞外液で働くのと異なり、細胞内液に溶け込んで細胞内の酸とアルカリのバランスをとり浸透圧の調整をします。
また、ナトリウムによる血圧上昇を抑える働きもあります。その他にもナトリウムとのバランスをとることで神経や筋肉の機能の維持に務めます。
カリウムの摂取が不足すると低カリウム血症となり、だるさや疲労感・頻脈や心拡張症など心臓の働きに良くない影響を及ぼします。
毎日の水からミネラルを摂取しましょう
ミネラルはヒトの体に欠かすことができない要素ですが人体では生産できないものばかりです。なので外部から摂取するしか手がありません。
そのためにも普段手軽に飲める「水」の中で、ミネラルが豊富なものを選んで自分で自分の身体を調整してあげることがとても重要です。
普段気にしているのといないのでは長い目で見ると、やはり齢を重ねていくに連れその差が顕著に現れてくるものです。
水銀・ヒ素・硝酸性窒素など体に有害な物質を含まない水。もちろんトリハロメタン等の発がん性物質も含まない水。
酸化還元電位の低い水…つまり塩素を含まない水。
大腸菌・クリプトスポリジウム・ランブル鞭毛虫などの病原となる微生物を含まない水。
ミネラルをバランスよく含んだ水。特にカルシウムとマグネシウムを比較的豊富に含む水。
炭酸ガスが適量に含まれている水も体にとって良い時がある。
体内と同じ弱アルカリ性のほうが吸収率が高いです。
もちろん上記の条件に合っている水を摂取しても場合によっては合わない時もありますので、状況や体調をよく見ながら摂取していくことが必要です。
水道水はどうでしょうか?
水の豊富な国である日本では身近にある水を粗末にし、水源を汚染してきました。そして殺菌剤と称し「塩素」を多量に水道水に投入することになりました。
その結果、飲料水の酸化還元電位が高まり発がん性物質として広く知られるトリハロメタンが水道水中に検出されるようになりました。
また、水道管が古く鉛の水道管を使用している地域の水道水からは、水中に溶けだした鉛も検出されています。
発がん性物質が含まれていることも・・・
それ以外にも水源が化学肥料や畜産排水によって汚染されると、硝酸性の窒素が地下水や水道水から検出されたりします。この硝酸性窒素は発がん性物質になるだけでなく小児糖尿病も誘発します。
さらには血液中のヘモグロビンをメトヘモグロビンに変化させ、特に乳児において酸素欠乏と酸素欠乏による呼吸不全を引き起こし「ブルーベビー病」を誘発したりもします。
関連記事:蒸留水と水道水 何が違うの?
このように水道水には疾病の原因となる物質だけでなく、水質環境の悪化による良くない臭いやカルキ臭、濁りや鉄錆が混じることで生じる赤水なども増えてきました。
また、殺菌のために投与される塩素でも死なない微生物が日本中の河川に広く存在することが分かってきました。(クリプトスポリジウムやランブル鞭毛虫など)
このように考えていくと水道水は決して安全ではなく「そのまま飲用するのは体に良い」とは言うことができません。
水は酸素の次に必要な栄養素です
体内の水分減少=老化
私たちは酸素と水がなければ生きていけません。体の中の水分が20%失うだけで生きていくことができなくなります。人間の体の水分量は加齢とともに減少していきます。
人の体は水分がなくなることで老化につながります。特に肌の老化は水分不足が密接に関わってきています。若々しくいたいのであれば、しっかりと意識的に水分を取る必要があります。
良い水を体の中に取り込むことは、健康はもちろん、脳の働き、美容、アンチエイジングに直結します。よくわからない健康食品を摂取するのであれば、良質な水をしっかり飲むことのほうが体には何倍も効果的です。
質が良く高価な水をチビチビ大切に飲むよりも、普通のお水をたくさん飲んだほうが体には良い影響を与えます。もちろん、理想は良質な水をこまめに飲むことが1番です。
健康維持のためには、できれば常温で1日1.5リットルの水を飲むことをおすすめします。水をたくさん飲む唯一のデメリットは身体が冷えてしまうことなので、冷たい水の飲み過ぎには気をつけてください。